IST 熱衝撃試験について

IST熱衝撃試験の加熱と温度管理の技術的背景の仕組みはとてもシンプルで、クーポンへの加熱はIST用に専用設計されたテストクーポンの表層パターンに直流電流を流すことでクーポン表層両面を加熱します、またクーポン温度の測定方法は、導体材質・パッド・ビアの抵抗値と印加電流値から演算して数学的に導き出します。 

IST試験は、このクーポン加熱方式と温度測定方法の仕組みを利用し、テスト回路の温度を設定値(一般的な信頼性試験では150℃、リフローアセンブリ工程シミュレーションでは通常230℃~260℃)まで通常3分間で到達させます。 クーポンが設定温度に達すると、ISTは電流を止め冷却ファンを回しクーポンを約2分間かけて室温まで冷却し1サイクルが終了し次のサイクルに移ります。 

信頼性試験の指定温度レベルは、通常は基板材料のガラス転移温度Tg以下(150℃くらい)で設定します。

ISTーHCシステムは熱サイクルテスト中、PTH・ブラインドビア・ベリードビア・マイクロビア・内層からバレルへのインターコネクト接続部分の微小な抵抗値の変化をリアルタイムで観測し続けます。 クーポンの温度が上昇(または下降)することに合わせて基材が伸び縮むことで、機械的応力をインターコネクト部(トレース、パッド、ホール)が受け微少ながら抵抗値が変化します。 ISTシステムは、基板のインターコネクト構造が熱ストレスによる歪みに耐える耐久能力を数値化して検証できるようにする画期的なテストシステムです。 

エンドユーザーが求める高品質なインターコネクトとは、さまざまなタイプのビア・相互インターコネクト・マイクロビア・キャプチャパッドインターコネクトが数百サイクルの熱ストレスに耐性を持ち、加熱試験前と後の抵抗値の差が実質的にゼロに近いものを理想とします。

繰り返される熱サイクルテストで抵抗値の変化が観測される場合、抵抗値の増減にかかわらず、インターコネクト構造内がダメージを受け変化していると考えられます。 ISTシステムの抵抗値測定は、微小な抵抗変化も見逃しません。 インターコネクトのダメージ初期の抵抗値の変化は非常に小さく(mΩ以下)、 やがてインターコネクトは、熱ストレスによって加えられるさらなる応力に耐える能力が失われていき、熱サイクルが繰り返される中で抵抗値はサイクル毎に増えていきます。 大きな抵抗値の変化が検出された時、基板の破壊につながるフェイルが始まった段階で基板インターコネクトダメージが蓄積されたと判断します。 10%以上の抵抗値の変化に達したとき、インターコネクトが使用できない状態になったと判断します。 ISTは、インターコネクトのダメージ変化をリアルタイムに観測し、破壊の初期段階でテストを終了します。

この仕組みによって、フェイル解析がインターコネクト破壊の初期段階で行えるため、インターコネクトのダメージの発生原因を解析する重要な情報をデータとして得ることが出来ます。


ISTーHCシステムは、インターコネクトの破壊がいつ発生するのか、またどのようなプロセスで損傷が蓄積するのかをリアルタイムで観察することができるのが特徴です。 抵抗変化は3つの回路でリアルタイムでモニタリングされます。

POWER回路:電流を印加され発熱する加熱用の回路

SENSE1回路とSENSE2回路: PTH、ブラインドビア、ベリードビア、マイクロビアの抵抗変化を監視する回路

POWER回路は、通常の使用方法では内部インターコネクト層に電流を運ぶ加熱回路であり、内層からめっきスルーホールバレルおける抵抗変化を監視し、インターコネクト接続の分離や銅箔割れの経過をリアルタイムにモニタリングします。 SENSE1とSENSE2の回路は、POWER回路から受動的に熱を受けてインターコネクトの信頼性をモニタリングする回路です。 ISTは、これら各回路をモニタリングして、ビアクラッキングやポストセパレーションなどの破損・破談が起きるかどうかを検証します。

ISTは自動的に温度サイクルを繰り返しながら抵抗値がフェイル基準値に達するまで測定し続けます。 フェイル基準値を達成したときにテスト終了となります。 すべてのテスト条件/パラメータはオペレータによって設定されスタートさせた後はテスト終了まで自動運転されます。

ISTソフトウェアによってデータ収集、レポート作成、分析は自動化されています。 ISTシステムによって得られるデータは、単に合格/不合格であるだけでなく、各テストサイクルすべての回路の変化を記録し続けています。 IST-HCシステムは、テスト中の各クーポンの状態をグラフィカルに表示するだけでなく、インターコネクト破壊を引き起こす初期症状が発生したときのフィードバック情報を得られます。

これはISTの重要な特徴で、クーポンが完全にフェイルする以前の段階である、フェイルの初期段階時点でクーポンがフェイルするメカニズムを検出できるよう、微量な抵抗変化を検出することができるということです。 この機能は、現時点で他社には無いISTのみ可能な機能です。 一般的な熱サイクルテスト方法では、破壊が起こって断線(オープン回路)状態になった後にフェイル箇所を調査します。 オープン回路になってしまった後は、根本原因を確認する手がかりの大部分が破壊によって失われてしまいます。

ISTは内層インターコネクトパターンを利用して電流を印加することでクーポンを加熱します。  テスト中にインターコネクト内で局所的に抵抗が増大する部分が発生し、そこが局所的に発熱します。 急激に抵抗値が1%を超える現象は、パターンの破損の初期段階(破損開始)を意味します。 抵抗値の増加現象は、局所的なひずみが起きやすい領域(めっきの薄い部分/ボイド/めっきの部分的不良/内層の剥離など)によって引き起こされる傾向にあります。

破損の初期段階の特定は、基板の熱による破損問題の根本原因の追求のために重要な情報となります。

テストクーポンをバレルとメッキスルーバレルと内層バレルの信頼性能を比較する目的で設計する場合、ISTシステムは少なくとも6層(内層4 /外層2)を必要とします。 PTHの信頼性試験目的の場合は、両面および4層板でISTクーポンはデザインされます。 ISTクーポン設計は、PWB社の経験による技術の蓄積に基づき、回路全体の温度の均一性を保てるように設計されています。 クーポンの加熱を均一に制御するため、トレース・パッド・ビアホールの抵抗バランスを電気モデリングによって調整しています。

PWB社のウェブサイトには、ジェネリックな例として一般的に使える今までPWB社が設計してきたISTクーポンデザインを掲載しています。 これらのISTクーポン設計データには、CAD/CAMオペレータが実際の基板を反映するISTクーポンを製作するための手順も含めたgerberパッケージが付属しています。 これらのISTクーポンデザインは他の試験にも転用できるようになっていて、ジェネリックISTクーポンは任意の層数、銅箔厚、線路構造、穴/パッド、パッドクリアランス径を利用できるようになっています。

PWB社には500種類以上のクーポンデザインベースがライブラリとして蓄積されており、既存のあらゆる基板構造に対応できるようになっています。

• 層数: 2層から40層以上 
• インターコネクト: PTH, マイクロビアとキャプチャーパッドの接続部, 内層とバレルの接続部
• ビア形式: スルーホール, ブラインドベリードビア、マイクロビア (エニーレイヤ) 
• 内層パッドから他の内層パッドへの接続 
• 信号層、電源・グランド層、混合層 
• グリッドサイズ: .016, .020, .024, .028, .032, .040, .050, .060 .080, .100インチ 
• 穴・パッドサイズ: あらゆるサイズに対応 
• 銅箔厚 1/4~10ozオンス 
• 実験計画法(DOE)比較: PTHと ブラインド PTH 対 マイクロビア直列 対 ジグザグ配列 他 
• 個別のクーポン、または複数のクーポンでのテスト 
• クーポンサイズ: 通常 5インチ x 1/2インチ (テスト用件に応じてサイズは変わります) 
• クーポンの構造確認と材料タイプを確認するための静電容量測定 
• 各層の銅箔厚確認のための平坦化確認回路. 
• バックドリルの深さが適切かどうかを確認するための回路 
• 内層のドリルレジストレーション確認のためのテストビア 

PWB社では通常、クーポンテストの依頼を受けた際のテスト要件を理解するために、基板設計ファイルがリリースされたときに基板製造業者と打ち合わせから始めます。 次にISTクーポン作成後、テストクーポンをISTテストセンターに送付していただき、試験終了後フェイル解析が完了し、テスト結果の詳細をまとめた技術レポート形式で作成します。 PWB社ではプリント基板インターコネクトに関わるあらゆるレベルの技術テストをフィードバックし、一般的なものから航空宇宙まで様々な業界分野の熱ストレス試験に携わっています。 PWB社は、製品製造/プロセス性能試験だけでなく、材料/化学製品の比較試験、従来の試験方法との相関試験、および製品/プロセスのトラブル分析を行っております。